ネクタイの知識 プロがつくるネクタイ
メーカーならではのネクタイの作り方のページです。オーダーネクタイのご注文をお考えの方に是非読んでいただきたい内容です。よりジャガードタイの魅力を知っていただければと思います。
これはレピア織機の性能によるものですが使用できる色は最大で8色です。しかし、正確に言うと、ヨコ糸が最高で8色でこれに経(タテ)糸が加わりますので計9色となります。横糸と経糸の織り方、すなわち見える面積の配分によってより豊かな色の表現が可能です。極端に言えば横糸が1色でも織り方によってグラデーション状に幾つもの色が出せるわけです。
西陣で染められた上質の絹糸の色数は約300色と豊富ですので微妙な色の変化も表現できます。カセの状態から糸繰の工程を経て糸枠(ボビン)に巻き取られ織機にセットされます。
緻密な織りが可能なレピア織機ですが、それでも限界はあります。例えば円形なら直径2ミリが、文字なら3ミリ角ぐらいが最小です。下の画像はほぼ実物大ですので参考にして下さい。
プリント生地なら写真から比較的簡単に印刷して製品に出来ますが、織物ではそうはいきません。
ジャガードで模様を表現するにはドラフト図(生地の設計図となるもの)を起こす必要があります。近代化の進む以前の手機の場合、紋紙と呼ばれる穴の開いた長い紙を用いていましたが最新のレピア織機ではコンピューターにより紋のデータを作成し、フロッピーディスクでジャガードに情報を指示します。これによって工程は簡略化し顔写真から柄を作成することは不可能ではありませんが、織物で表現するには向いておらず、生地の風合いを生かすことも難しくなり、織りの魅力が半減するためお勧めできません。むしろ少しデフォルメした方が美しいネクタイになります。そのような作業もvionteではデザインスタッフが手伝いいたします。
写真、キャラクター、ロゴマークなどの権利のあるものは無断でネクタイに出来ません。
ジャガードの場合、配色にも注意が必要です。これは色の乗せ方が生地の風合いに大きく影響してくるからです。
基本的に生地を織る場合、横方向に多くの色を乗せることは出来ません。右の例で説明すると、Aの生地は一般的なストライプの柄ですが、Bのような柄を織ろうとすると分厚くてゴワゴワした生地になってしまいます。
これはAの場合、それぞれの色の部分で必要な横糸は1色ですが、Bの場合では常に4色の横糸を重ねて織らなければならないためです。生地が何層になっているかでその生地の風合いが決まり、ネクタイの締め心地にも影響します。これを専門用語で一丁、二丁などと呼び、通常のクタイでは二丁の生地を使います。右の例ではAは一丁でBは4丁になります。
ただし、ワンポイントなどの色を乗せる面積が小さい場合はその場所だけに横糸を走らせるので、生地全体に影響せず、比較的多くの色を使ます。
ここまで読まれて出来ない柄がたくさんあるのかとお思いかもしれませんが、織りの工夫次第で様々な表現が可能です。ご安心ください。